日刊きりゅうに掲載しております健康情報をインターネットで配信しています。

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●今回のテーマはストレスと中医学●
(5章に分けて掲載されております。)

ストレスに香りを利用した中成薬
 中国を旅行すると土産物店で必ずある場所に引きつけられます。白檀の細工物を並べているところです。さわやかな香りが何となく心の疲れをいやしてくれます。この白檀は漢方薬の中では理気薬(気の流れをよくする)に分類され、普段私たちの体の中をスムーズに流れている気(エネルギー)が滞ってしまうのを改善してくれる作用があります。この芳香性の生薬は沈んだ気持ちを活性化してくれます。身近な物ではみかんの皮、らっきょう、菖蒲などもあります。五月の木の芽時は自然界と同じく人間の体も一番代謝が激しく心の伸びやかさが必要とされ、端午の節句に菖蒲湯に入るのも意味があります。

 春先には環境の変化に適応出来ないで、ストレスがある度合いをこえ、体にさまざまな障害をしょうじる人が多い。イライラしたり何もする気のないウツの状態などの精神的変化、胃が痛んだり、便秘や下痢になったり、女性では月経不順、生理痛など、長引くと肩こりや頭痛の原因にもなります。こんな時よく使用するのが理気薬を配合した開気丸、逍遥丸などで、開気丸には木香や沈香などの貴重な生薬が配合されています。天然の木香は乱獲されワシントン条約で輸入が禁止されています。

 また血液を巡らせることによって気を引っぱるという方法もあります。この場合は冠元顆粒を使用します。この他最近注目を集めているものにシベリア人参があります。環境適応能力を改善して、気を増してくれる補気の作用もあり、やはり独特の甘い香りをもっています。

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ストレス多血症と中医学
 血液検査の一つにヘモグロビンという項目があります。男性が14-18g/dl、女性が12-16g/dl、これは、肺から取り入れた酸素を全身に運ぶ役目をしています。したがってこの数値がすくないことは、貧血の判断の一つになります。

 今回は逆にこの数値が基準より多くなる場合で、多血症といいます。本来は重症の下痢や火傷、大量の汗をかく、利尿剤の長期服用などの血液が濃縮される条件ででます。俗にいうところの血液がドロドロした状態です。ところが最近はストレスが原因の多血症が増えているという報告がありました。発生のメカニズムはまだわからないということです。当然血液がスムーズに流れない状態だから、脳、心臓、腎臓など細い血管が多く集まる臓器に疾患がでやすくなります。

 中医学では、「気めぐれば、血めぐる」、「気は血の帥」などといい、気と血が密接な関係にあることは考えられていました。常に気分がリラックスできる人はいいのですが、気持ちをうまく発散できない人の為に予防の中医薬を紹介します。これまで一番有名だったのが、中国、清の時代の名医、王清任が作った血府逐オ湯という処方です、血液をめぐらせる生薬に気持ちを伸びやかにする生薬を合わせてつくられています。

 西洋医学では現在やっと認識されつつある気と血の関係をすでに170年前考慮しています。中医学のこの伝統的な考えを発展させ研究された薬が冠元顆粒という薬です、ストレス社会の救世主ともいえる薬です。

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心に対応する中成薬
 「病は気から」とよく言われすが、「気」をうまくコントローロ出来るひとは病気になることがすくないようです。中医学では「気」が体の中を昇ったり降りたり、出たり入ったりしていると考え、それぞれの臓器に「気」が存在し、自然界と同じく春は特にのびのびしていることが大事です。

 「気」の動きを管理しているのが「肝」で「気」を上へ向かって発散させる性質があります。ストレスによって「肝」の機能がおちると「気」の調整がうしなわれます。私たちが健康を実感できるのは普段気持ちがリラックスしてバランスのとれている状態といえます。「気」の動きが弱く停滞していれば、精神状態が低迷し、何に対しても興味がなく、本来やりたいことがあっても、やる気がでません。ガスやゲップがしたくても出てこなく、便秘になることもあり、体の中に張った感じがします。逆に「気」の動きが強く、亢進すれば興奮状態が続き、声が甲高く、何時もイライラして、回りの事に関して不満が多くなります。興奮状態が続くと体に熱が産制され、目の充血や顔面の紅潮などがでます。瞑想療法や自己催眠などの心身医療は、「気」をバランスのとれた平衡状態に自己の力でもっていくことで治療に役立てる方法です。これには長い時間や訓練を必要とします。

 中医学では「気」が落ち込んでいる状態では、「気」を上へ向かって発散させる逍遙丸を使用します。「気」の過剰な時は余って乱れている「気」を下へ降ろしてやる開気丸を使用します。自分の現在の状態を良く観察してみると、均衡のとれた中心から、どちらに重心があるのかわかると思います。これらの中成薬をうまく利用してみてはいかがでしょうか。

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精神的落ち込みに帰脾錠
 中医学でうつ証を分類する時、実証と虚証と分けて考えます。実証の主なものは「肝気鬱結」、体内の「気」の流通がスムーズでなく停滞した状態「気滞」より発症します。精神的抑鬱、情緒の変動、飲食の節制不足、痰湿、お血など原因はいろいろあります。

 具体的な症状は、「イライラ」、「怒りっぽい」、「胸脇部が張って苦しい」などです。肝気鬱結によく使用される生薬は香附子、紫蘇葉、陳皮などで、代表的処方は柴胡疎肝散ですが、日本にはないため、逍遥丸に香蘇散などを加え代用します。虚証では「気」、「血」の不足による「脾気不足」、「心脾両虚」が主なもので、具体的症状として「気分が晴れやかでない」、「やる気がでない」、「落ち込みやすい」、「考えが消極的、悲観的」など、虚証では人参がよく使用されています。

 代表的処方は、前者では補中益気湯、後者では帰脾湯です。特によく利用するのは帰脾湯です。歴代の有名な医家により改良が重ねられ、現在の処方になっています。中医学では精神活動の基本である「気」の生成は消化器が重要な役割をはたしていると考えます。「気」を補う作用のある、人参、黄耆などが処方され、気持ちを安定させる生薬、遠志、酸棗仁、龍眼肉などを配合した帰脾湯が現在、精神安定剤などを使用しているひとで症状の好転が見られない場合有効なことが多くあります。

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こころの病と中医学
 気持ちが落ち着かなく煩わしい、物事に驚きやすい、眠りがあさく継続して睡眠がとれない、夢が多いなど精神的悩みを持っている人は最近多くなっています。人間関係や仕事の責任など急激な環境変化も原因しています。病院では抗うつ剤や抗不安剤が出されます。たしかに症状は好転しますがこの種の薬を飲み続ける事に何か不安や抵抗がある人もいます。こんな人たちには漢方薬が大きな助けになるのではないでしょうか。

 人間が思い、考えるなどの精神活動は現在では脳の働きによることは分かっています。中国医学では、「心は神を蔵す」、「心は神明をつかさどる」などといわれ、人間の精神的活動を「心」と深くむすびつけて考えて来ました。ショックを受けた時、胸騒ぎがしたり動悸がしたりするのを考えるとわかると思います。上記の精神的症状は「心の気血」が養われず、精神意識活動が落ちている状態とみます。治療は足りない「心の気血」を補い、一方では「神」に「気血」をとどける道を塞ぐ原因となる「痰濁」と「淤血」を取り除きます。

 心の「気血」の不足は後天的エネルギーを送る消化器の機能失調が原因することが多いので帰脾湯で一緒に補います。父母より受け継いだ先天的エネルギーの「腎精」の不足により「心」の働きが弱った時は天王補心丹を使用します。後者では「怪病多痰」(奇怪な病気は痰が関係している。)という言葉があります。てんかんやうつ病などはこの理論を利用して治療することがあります。痰を取り去る処方で代表的なのは温胆湯です。血液の流れの停滞を改善するには丹参を主剤とした冠元顆粒を使用します。実際には痰とオ血が結びついている「痰オ阻竅」が多く、治療に時間がかかります。

オ=病だれ+於

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