漢方で熱中症予防の方法は?

質問

 うちの高校生の息子は、部活でバトミントンをしています。一日に3枚も4枚もシャツからパンツまでびっしょりになります。私は、病院の調理室で働いていますが、湿気がひどく息苦しくなることもあります。去年、家で留守番をしていた高齢者が熱中症で亡くなったニュースを見ました。うちにも年寄りがいるので心配です。漢方で熱中症予防の方法はありますか?(宮城 T子)

答え

日差しが強い日のパンダ バトミントンは、瞬発力を要求されるスポーツです。風は公平さを失うことからカーテンをした体育館で練習を行います。卓球なども同じで、そうそう冷房の効いているところはありませんから、蒸し風呂のようでしょう。炎天下で行われるラグビーや野球の方がかえって熱中症に注意が向きます。ご本人も湿度の多い温度の高いところでの作業ですから、同じく炎天下での造園などの作業にはない注意が必要です。高齢者の場合特に気を付けたいのが、夏以外でも急激に暑くなったときです。加齢により外気温の急激な温度変化に対して、皮膚の温度センサーの感度が鈍くなっています。皮膚血流量を上昇させ発汗をうながし体温を下げる力が低下しているのです。

 基本的な注意としては、スポーツをする場合、30分に1回程度の休憩と0.2%程度のミネラル成分を含む飲料で水分補給です。朝の味噌汁をおかわりするのもいいことです。煮出した熱い麦茶をすすりながら梅干を食べるのも日本的な解暑法です。作業現場では重なる疲労や睡眠不足によって、大きな事故に結びつく場合もあります。無理をせず休憩時間を確保して体温の上昇を防ぎましょう。特に高齢者の場合は、口渇感を感じにくくなっていますから、口渇を感じなくても定期的な水分補給を心がけましょう。特に糖尿病の方や利尿剤系の降圧剤などを服用している場合には、スポーツ飲料は倍以上に水で薄めて飲みたいものです。

 漢方の立場から熱中症をみると、単に水分不足という考え方にとどまらずに、血行不良という可能性まで考えられます。漢方では汗をかきすぎると血がネバネバになると考えています。実際、現代医学でも、エンドセリンという物質が血液中に増えて血管や気管を収縮させるので無酸素運動状態を増やします。更には、赤血球の膜が硬くなり、それより細い毛細血管を通れなくなってしまい、末梢での血行不良が深刻なダメージを与えるという説が唱えられているのです。

 「生脉散(しょうみゃくさん)」は、薬用人参と麦門冬と五味子という3種類の薬草で成り立つ処方です。体内の潤いを保ち、血行を改善する第一選択の処方です。薬用人参はご存知の朝鮮人参です。「気」を補って新陳代謝を助け活力を高めます。麦門冬はユリ科の植物の塊根です。余分な熱を冷まし体内の潤いを補い口の渇きや過剰な食欲を抑えてくれます。五味子は植物の果実です。五つの味がするのですが、一番ハッキリしているのが酸味です。梅干しを思い出しただけで唾液が出るようにのどの渇きを潤します。さらに、収斂作用がありますから、過剰な発汗を抑制して汗ばかりでなく汗と一緒に「気」が漏れ出てしまいバテるのを防いでくれます。「生脉散」は「麦味散」という名前で輸入されています。スポーツ飲料に混ぜて水で倍に薄めて飲むのをお勧めします。夏の養生が冬の健康につながっていきます。